2014年3月30日日曜日

空海、善魔の怒り

千二百年にわたる、真言密教の教えは、一体なんであったかと、一人呟く寂しげな弘法大師空海の姿が高野山の金剛峯寺の縁側で座っていた。
民衆を教化して、救済する。そして、「人間が生まれて、長寿をまっとうし、生涯、衣、食、住に窮することなく家族がひとところに寄り集って、平和に暮らす」。ことのできる世の中をつくる。そのために、私は、この世に生を受け、真言密教の大日如来の悟りを体系化した教義をつくり、それを実践してきた。
現世に生きる人間は、迷いの心と、苦悩する現実世界の実相を照らし、教訓的な警鐘の言葉を伝えようとした。
般若心経二百六十二文字には、宇宙の真理が秘められている。偉大な大日如来の深い智恵と慈悲心が凝縮くしている。智慧と心を磨き、天と神仏の声を聞くことによって、この悟りを現実の生活に生かすことが、「大日経」の聖語集に述べられている。
しかし、わたしが、ハ百三十五年(承和二年)、奥之院へ入定してから、千二百年たっても、大日経の教えと歴史の教訓が理解され実践されていない。人類は、「自然と科学が、調和す範囲で進歩すべきである」。
すなわち、「大日経開題」にある「如来威神の力を離れては十地の菩薩もその境界に非ず、一切時処に於いて起滅辺際ともに不可得なり。(消滅変化させるその根源)との教えに反する。
三年前に発生した東日本の大震災と大津波、それに伴う原発の大事故のことである。原発は、悪魔のエネルギーである。いまだ、人類がコントロールできない驚異の産物をつくり、自然界の四大(地、水,火、風)の怒りをかい。
多くの人命と財産を一瞬にして失い。人間の住めない国土を作った。天災と人災、これ以上の人間界に対する脅威はない。
この大惨事にもかかわらず強欲な煩悩の鎖を断ち切れない利権集団は、再稼働と輸出を推進すると言う。空海は、天上から怒り心頭で、人間には、生まれ持った仏心と理性があるはずだ。
この宇宙の中に住む地球の人間の行為すべては、六大の本質から離れることは、大日如来と空海の教えを否定し、仏心を失ったと言うことである。かけがえのない美しい日本を、これ以上、破壊してはならぬ。
空海は、人間は、驕り高ぶってはならない。足るを知るべきであると、怒り心頭で、善魔の鉄鎚を下す時がきたと断言する。そして、六道の世界、天上から地獄を強欲な権力者に味わらせてやると嘲笑う。
恐れ多くも、世界の偉人。空海の化身になった筆者が、「天の意思」として、原発廃止を訴える物語に挑戦しようとしている。ご期待下さい。
来年の平成二十七年は、高野山開創千二百年あたり、高野山結縁行脚隊が、三鈷と不滅の聖燈に祈りを乗せて、一年をかけて全国を巡る。
是非とも行事に参加して血縁を深めてほしいと思います。


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